母が再婚(私が小学校2年生の頃)した先の祖父母の家の話。

祖父母の家は山の中にある集落の元地主らしく、
庭が山という山の中の家にしては、
庭に池がふたつあって50年以上生きてる鯉がうようよしてたり、
庭の竹やぶの前にお稲荷様の社があったり、
山の中にいきなり立派なお屋敷がある感じなんだけど、
そこにいる山の神様が過保護だった。











・祖父から小さい頃(おそらく6~70年前)、
庭の池にホタルが飛んでた話を聞いた。

「ホタル見たい!今もいないかな!」

とはしゃぐ私に、
流石にもう何十年も前の話で今は居ないと諭された。

その夜、父親が騒いでいるので見に行ったら、
池でホタルが一匹だけ飛んでいた。


その年以降も一度も見ていない。


・ずっと前に庭にカモシカが出た話を聞いて、

「うわー!見てみたい!」
→次の日の早朝カモシカが庭に出る。

私は見れなかったので

「見たかったー!起こしてくれたらいいのに!」

と抗議したら、
すぐにいなくなってしまったそうな。

その後、
祖父母の家に遊びに行ってたまたま泊まらないで帰った次の日、
父親がバタバタと出かける準備をしているから何かと聞けば、

「庭にカモシカが迷って居座ってるから、
捕まえて山に返してくる。
危ないからきちゃだめ」

この間私が見れなかったからだろうか…。


・学校の授業でふくろうの話を聞いたので、
祖母に

「ふくろう見たい!この山にはいないの?」

と尋ねてみるが、
祖母は一度も見たことがないそう。

その夜どうしても見たくなって庭に出て山を眺めてみる。
→どこからかふくろうの鳴き声が聞こえてきて、
頭上を大きな鳥が飛び去っていく。

その後すぐに屋敷に引き返して

「ふくろうがいた!!」

と言っても信じてもらえず。


・山で山菜が取れるのだが、
もう時期も遅いし他の場所から来た人間が取り尽くしてしまった話を聞く。
→行ったらなぜか食べごろの大きさでめっちゃ生えてる。


・たけのこの話を聞いて「掘りたい!」
→時期的にはまだ出てこないはずなのに沢山もこもこしてる。


他にも色々あったけど、
とにかく何か見たい!やりたい!と私が言ったら、
いるはず、あるはずがない物も見せてくれた。

その場に居合わせて大人が驚いていることが結構あったから、
全部が子供の頃の妄想ではないはず。

山の神様に会った!とか、
霊的な何かを見た!とかは一切無かったんだけど、
今思うと山にこれ以上ないぐらい歓迎されていたんだなぁと思う。

散々山に繰り出して道も知らないのに怪我ひとつ、
迷ったことすらなかったし。

2年前に久しぶりに祖父母の家に行って山に行ってみたら、
何故か山の中の何も無いところに大量に果物が捨てられていた。
(スイカやメロン、大量のりんごや柿。今思うと季節感がめちゃくちゃ)

しかもどれも全く痛んでいない。

祖母に話したら

「もったいないことをするねぇ」

と言っていたから、
その集落の習慣とかでもないみたい。

もしかしたら神様が久しぶりに来たから歓迎していたのかも知れない。

もう子供って年齢でもないのに相変わらず過保護なようだ。

ちなみに熊被害のニュースを見て、

私「ねぇねぇ!この山に熊はいないの?」

祖母「ずっと深いとこには居るかもしれないけど、
もうずっと誰も見たことないねぇ…」

私「へぇ~。…でも別に熊は怖いから見なくていいかな」
→その二~三日後、近所数件今まで遭ったことが無い熊被害に遭う。

見たいって言ってたらどうなってたんですか神様…。