俺の親父は土建屋を経営してる。

とは言っても、
決して大きい会社では無く、
従業員は5名ほど。


社長という肩書きではあるものの、
現場最前線で働いてる。

住んでる所がけっこうな田舎なので、
仕事する現場が山中だったりする事も多い。

俺が高校生の時に、
夏休みを利用して何回かバイトさせてもらったけど、
その時も山の中を流れる川の用水工事?みたいな仕事だった。

土木に詳しくないので・・すまん。


今までも何回か洒落にならんような出来事はあった。

山の中で仕事してたら遠~くの方に人がいる。

木々の間に。

それが何日経っても動かないもんだから、
見に行ったら首吊り死体だったとか。

そんな感じの。

で、先日。

いつもより帰りが遅かったんで何かあったのか聞いたら、
従業員がチェーンソーで足を切ってしまったから
病院に行ってたとの事。

切り落としたって訳じゃないが、
20針くらい縫う事になったって言ってた。

それは大変やったなぁとか喋ってたら、
親父が今の現場はヤバイ場所かもしれんなぁとか言い出した。

詳しく聞いてみた所、
今やってる現場もまた山中にあるんだが、
変な事が立て続けに起こってるらしい。

まず、木を切る事を専門にしてる業者?を呼んで木を切ってもらってたら
あるエリアに入るとなぜかチェーンソーが止まってしまう。

他の場所はなんの問題も無く切れるそうなんだが
なぜかそのエリアに入るとチェーンソー停止。

しかもエンジンかからない。

で、切った木を重機で集めてたら、
ガバっと木を掴んだ時に、
圧縮された拍子で跳ねたって感じかな?

枝が重機の運転手めがけて飛んできて、
重機運転席の窓ガラスが1枚割れた。

まったく同じ事で木を積むダンプの運転席の窓ガラスも破損。

んで、
これは何かあるんじゃないのか?
って従業員と喋ってたら、
山の中から

「お~い」

って呼ばれた。

親父曰く、
ちょっと高音でかすれた声。

その時現場には
自分とこの会社の人間しかいなかったらしく、
しかも全員ちゃんと聞こえたそうだ。

その声はそのまま放置して、
また仕事を再開。

ところがその声が何回も何回も聞こえてくる。

「お~い」

「お~い」

男とも女とも言えない声だったらしいが、
これはさすがにまずいと思ってた矢先に
チェーンソーで足を切る事件が起きたそうだ。

もちろんその日の仕事は終わりにして、
病院に行った。

んで帰宅。というわけだ。

次の日に神主呼んでなんかお払い?やってもらったらしいが、
一応、その後は何も起こってないらしい。

なんか埋まってたのか、
それとも切ってはいけない木?だったのか。

真相は分からんが、そんな話。