知り合いの話。

山道を歩いていると、
小さな駄菓子屋に出会した。

喉の渇きでも癒そうと入ってみたが、
置いてある商品は見覚えのない不思議なものばかり。


何の動物を模したのか全然わからないお面だとか、
硝子瓶に沢山詰められた目玉だとか、
中身が入っているのかゴトゴト音を立てている壺だとか。

描写すると不気味な物ばかりなのだが、
なぜか、怖いとは感じなかったのだそうだ。

札に書かれている字も、
まったく読めない。





店に人の姿はなく、
何度か呼んでみたが、
誰か出てくる様子もない。

諦めて、何も買わずにそこを出た。

後日、仲間内でこの話をしたところ、

「あんな山奥に駄菓子屋なんかある訳ないだろう」

と言われた。

その後も何度かそこを通っているが、
あの駄菓子屋はどこにも見当たらないという。