私は解体業界に身を置く者です。

この業界は
人の思いのこもった建物を壊す事を生業としている為か
往々にしてやれ御祝いだ、
神主様の祈祷だとなり
それらの事が身近に有る業界です。


この業界で過ごす者なら
大小様々な体験・話を聞いていると言って良いでしょう.

ご多分に漏れず私にも
そういう経験があります.

その中の一つの話。


ある物件で有ったことですが、
それは付き合いの有る業者の倉庫の解体工事でした。

その倉庫は先先代の社長の時に建てられた倉庫で
昭和初期の物でした。

木造の建物は傷みきって
2階に上がる階段も抜け落ちている状況で、
外側だけを見て見積し
工事開始となりました。

工事が始まり内装撤去という
家財道具や分別できる物を仕分ける作業中に
いきなり下請けのリーダーから
階段の抜け落ちていた2階に呼ばれました。

リーダーに話を聞くと
作業員が子供が居ると騒いでいるとの事でした。

こういう廃屋は
子供の遊び場になっている事も有るので
全員で子供が居てないか探して回りました、

その際子供が隠れていないかと
行李(こうり)を開けた作業員が叫び声を上げ、
皆が集まりその行李を覗くと
そこには90cm程度の男の子の人形が入って居ました。

その人形は普通ではなく
しんが入っている様に感じました.

皆も何か感じるものがあるらしく
この人形が有る限りは仕事できないと言い
帰ってしまいました。

私はすぐに担当さんに電話し、
担当さんにその人形を見せましたところ、
なぜこんな人形が会社の倉庫に有るのか調べてみます
との事でした。

3日後、
担当さんから会社に来て欲しいと電話が有り伺うと
社長と会長及び会長の祖母が対応して下さいました。

人形について伺うと
この人形は会長の弟さんが生まれたときに
高名な占い師に作ってもらった人形との事でした.

占い師に名前を決めてもらいに行った際に
この子は長生きできないと言われた両親は
占い師に頼みこの身代わり人形を作ってもらったそうです。

しかし、弟さんは出兵した戦地で亡くなり、
人形も疎開の際に燃えてはいけないと倉庫に預けたまま
忘れてしまったそうです。

倉庫に眠ったままの人形を取りに来られた会長さんは
遺骨の無い弟さんの遺骨として埋葬しますと言い
人形を持って帰りました.

会長の祖母も
ありがとう、ありがとうと言い
帰られました。

ですが気になる事が幾つか有ります.

第一に作業員が聞いた声は子供達の声らしい事、
第二に私が人形を見た際に感じたのは子供という感じでした.

第三に身代わり人形という何かを
御墓に入れて良いものなのか?

工事が終わり
社長らに会うことも無くなったので
その後については謎です。