俺の体験談ですが…。

ある日俺は仕事で、
築30年を越えている公共施設(仮に○○会館とする)に立ち寄った。

もう既に日は傾いていて館内は薄暗く、
築30年を越えているのもあって不気味な雰囲気だった。





怖がりの俺、
既にビビリマクリ。

そして何だか嫌な感じがするので、
早く用件を済ませ、帰ろう―。

そう思って用件を済まし、
帰ろうとしたとき、
俺は廊下の突き当たりにあるものを見てしまった。


そこは廊下の突き当たりで、
行き止まりになっている。

その壁に絵が飾ってあるのだが、
絵を隠すように、
何も貼っていない掲示板がおいてある。

俺はふと好奇心から、
何が飾ってあるのか見たくなった。

本来ならば極度の怖がりである俺が、
何故そんな風に思ったのか今でもわからない。

気づいたら俺は、
掲示板をどけ、
絵を覗き込んでいた。

その絵は
黒と茶色と白しか使っていないのではないかと思われるくらい、
暗い絵だった。

使われている色が暗く、
また館内も暗かったので、
ぱっと見ただけでは何が書いてあるのかわからない。

しかしじっと見ていると、
どうやら入り口から物置?を覗いている構図で
絵を見る人(俺)の影が
絵の中に書き込まれているような絵だった。

何だ、単なるおもしろい構図の絵か。





俺の好奇心はそこで急にそがれた。

帰ろうかと掲示板を元の位置に戻そうとした瞬間、
ちょうどタイミングよく電気がついた。

さっきまで見ていた絵。

さっきまでは、
物置を覗き込んでいた構図で
こちらの影が書かれていたはずだった。

しかし今、
なぜか絵の奥にも影がある。

そしてその影の持ち主は、
どこにもいない。

物置の奥の影は、
先ほどまではなかったはずだった。

そして俺は見てしまった。

近くの窓に映る、
はっきりとした影を。

絵に描かれている影とそっくりな、
背丈の影だった。

俺は半泣きになりながら逃げようとするが、
体が動かない。

人影?がどんどんこっちに来る気配はするし、
どうすることもできない。

意識を手放しそうになった瞬間、
ふっと体が軽くなった。

慌てて掲示板を戻し、
走って会館から出た。

掲示板の裏側には、
御札のようなものが貼ってあった。

俺は動かしてはいけないものを動かしてしまったようだ。

そしてこの前会館に行った時、
その絵は相変わらず掲示板に隠され飾ってあった。