19のころ市内の実家にふらりと帰った夜、
家の近くの路肩に車を停めさせてもらってた。

んで22時過ぎだったかな、
さて帰ろうかと車に戻ってきたら、
車の向いてる路地奥から、
人の形をした何かが小刻みに揺れながら歩いてくるのが見えた。




クネクネしながらゆっくりこちらに動いてくる。

新手の不審者かと思って
急いで車に乗り込んだけど、違和感。

人間ってあんなに歪めるっけ…?
ってくらい左右にグネグネ歪む。

夜なのもあって最初はハッキリ見えず、
目を凝らしてしまった。

でもすぐに逃げなかったのを後悔した。


その人型が2本向こうの電柱まで近付いて来た時、
街灯に照らされて見えたのは、
全身ピンク?の剥き出しの肉の塊だったから。

背筋がゾッとして、
弾かれるように車を出した。

なんでか分からないけど
あれをまじまじと見てはいけない、
追いつかれちゃいけないって直感して、
実家が近くにあるのに自分の家に帰った。

(無意識に、
あれがもしついてきて実家に入り込まれても嫌だと思い、
遠くに逃げるのを選んだ)



幸い、後ろをチラチラ見ながら運転してたけど
路地を抜けると追いかけてこなかったし、
あれはクネクネだったんじゃないかとガクブルしてたけど何も無かった。

そんで数週間後の昼間に実家へ帰った時、
母親にその話をしたら意外な答えが返ってきた。

「路地の奥って〇〇さん家のほう?」

「うん。あの路地の突き当たりからクネクネ動いてきてた」

「あー…」

「なに、何なん?」

「〇〇さん家の息子さんつい最近交通事故で亡くなったんて。
あんた家おらんから知らんやったろうけど。
それも正面衝突して、
言い方悪いけどグチャグチャやったって。
それかもね」

わたしも母も実家や旅先でそういうものを見ることが多く、
なんとなく察してしまった。

母の推測が正しいのかは分からないまま。

あのクネクネを見たのも1回きり。

実家とは母が亡くなってから疎遠になってて
当分帰ってない。

正直怖いし。