今から5年前、学生時代俺が体験した話。

サークルの部室で先輩に怪談を話してもらってて「本当に恐い体験がしたいのなら、今からI市にある○○寺に行って来い」と言われ、早速友達と二人で行ってみた。その寺には本堂とそれを囲むように3つのお堂があった。


明かりが全くついてなく誰もいなかった。悪ノリしてお堂の1つ目に勝手に入った。

真っ暗なのでライターでお堂の中を照らしてみたが何も無い。続いて2つ目のお堂、これも特に変わった様子は無かった。

「何だ、大したこと無いな」とか言いながら3つのお堂に入った。自分は霊感とか全く無いのだが、入ってすぐこのお堂は他の2つと違う妙な雰囲気を感じた。

何だかたくさんの人に見られているような気がした。友達がライターを点けてみるとそこには・・・壁一面の棚に何百体もの人形が並べられていた。

この寺は人形の供養をする寺だった。全部の人形がこちらに顔を向けて飾ってあった。

だいたいが雛人形だったが、ところどころに外国産の大きい人形もいた。とたんに眩暈がしてそのまま気を失った。

自分が倒れる直前にどさっと音がして友達が隣に倒れるのが見え、まずいなと思った。数時間後、先輩に起こされ目を覚ました。

僕らの帰りがあまりに遅いので先輩が様子を見に来てくれたのだった。「ごめんなさい、何だか急にくらっとして・・・」と先輩に言うと「当たり前だ!お前らこんないたずらなんかするな!!」と激しく怒られた。

初めは先輩が何を言っているのか分からなかったが、辺りを見回すと・・・棚の上に並べられていた人形が全て降ろされ、僕らと先輩の周りを囲んでいた。その後、泣く泣く三人で人形を元の棚に戻したが、なぜか何体かの人形がお堂の外に逃げ出していたので大変困った。