数年前の五月頃家の裏の古いアパートで火事が有った。

そのアパートの二階奥に住むお爺さん(Nとする)が亡くなった。父(霊感あり)はNさんと近所付き合いがよく、時々Nさんが訪ねて来る事があった。
これから話す事はその時に体験した事です。その日は夕食がいつもより遅かった。

夕食を食べていると、八時半過ぎ、来客を知らせる音が鳴った。インターホンを手に取り、「もしもし」「毎度様で・・・です」「あの、どちら様でしょうか?」・・・返事はなく、インターホンからは外に吹く風の音だけがヒューヒューと聞こえていた。

その事を父に話すと気味が悪そうにしていた。その後父は飲みに出かけたが、胸騒ぎがしたらしくすぐに帰ることにした。

十時頃部屋で兄とゲームをしていると花火の様な臭いがしてきた。この時期に花火はまだ早いのにと思い、窓を開けて臭いの元を探そうとした時、父が丁度帰宅、そして裏のアパートから煙が出ていると教えられ私達は急いで避難した。

発見が早く大火事にはならなかった。しかしその部屋は全焼し、Nさんは焼死体で発見された。

その後の調査でロウソクの火が布団に移ったのが火事の原因だと分かった。布団が焼けにくい物らしく全焼までに結構な時間が掛っただろうとのことだった。

そしてNさんは早くに意識を失っていただろうということも判った。あの時自分は人が焼ける臭いをかいでいたと思うと気持悪かった。

翌日は一日中雨が降っていた。父と火事のことを話していると、父は有ることに気付いた。

「毎度様です」と言って訪ねて来るのはNさんだけだということに…誰かが訪ねて来たあの時、ドアを開けに行ったら自分はどうなったのだろう…