高校時代の話。

友人Aが私を呪いたいらしかった。

「好きな人と両想いになれるんだよ!」

って教えてきた“おまじない”は、
ひとりかくれんぼ。
「これをやると幸福の神様を呼べる」

って教えてきたのは、蠱毒。

「これをやるとお金持ちになれる」

って教えてきたのは、
たぶん洒落怖にあるリアルって話のヤツ。
(うろ覚えだが、姿見の前に立ち、
半歩足を動かしてくるりとまわってお辞儀~みたいな感じ)

生き人形遊び(?)だとか、
お憑かれさんとか、他にもいろいろ。





あと、ドアを開けて

「お入りなさい、早くはいらないと~」

とか言って、
風が吹いたら閉めるみたいなやつとか。
(あきらかにやばいもの呼び込みそうだけどどうなんでしょう?)

私に霊感はまったくないけど、
オカルト系の話が好きでここに入り浸ってるから、
たいていの話は知ってるし、知らなくても

「なんとなく呪いの儀式っぽくね?」

と思う。

最初は、

「それ怖い話に合ったやつだよ、
たぶん呪いだよ」

って教えてた。

そうすると彼女はきまって残念そうな顔をするから、
ああ呪いたいのかな、って思った。

それ以降も

「私もやったから!
B(私)ちゃんも試してみて!」

としつこい。

面倒くさいので

「興味ないからやらん。
道具準備できない」

でスルーしてた。

そんなある日の昼休み、
Aが唐突にキレた。

わけのわからないことをぎゃーすかと喚いていたんだけど、
少しだけ何を言ってるか聞き取れた。

「なんでダイエットなんかしたの、
お前なんか引き立て役でいればよかった」

「痩せてもブスはブス!
調子に乗りやがって死ね!」

「15kg(痩せた分です)とかウソだろ死ね!」

「呪ったのになんで死なないんだゾンビ!」

呆気にとられる私につかみかかろうとするAを友人が止めてくれて、
誰かが呼んできた担任教師登場、Aは職員室へ連行された。

その翌日から学校に来なくなって、
そのうち退学した。

呪い返しって、
私にその意思がなくても起きちゃったりするのかな?

私がダイエットなんかしなきゃ、
Aは狂わずに済んだかもしれないって時々後悔する。

だけど、
体が重くて色々と面倒くさかったんだよ。

祖父母も、
両親も親戚一同も私も霊感なし。

私以外はオカルトに縁どころか、
興味すらないらしい。

力を持ったお坊さんとか霊能者とか、
そっち方面のツテもゼロ。

だからAのことはどうにもできない。

乱文失礼、
やっぱり人柄って出ちゃうんだろうかね。