長野で働いていた時のこと。

住み込みの職場で、
しかも木造の分校跡を寮に使っていました。
(私はそこの舎監)
ある晩、
二階の自室から一階のトイレに行った所、
階段の降り際にある窓からふと外を見ました。

ちょうどグランドが見えるのですが、
そこを小走りに6、7歳くらいの女の子が駈けていきます。

そのまま校舎の裏手に回りました。

私は

「子供(小学生の寮でしたので)が抜け出したのか?」

と思い、トイレに入りました。


ここの窓からは、
子供の入った校舎裏が見渡せます。

急いでトイレの窓を開けると、
誰もいません。

不思議に思った私は、

「まだ中には戻っていない。
子供部屋を調べて、いない子供が犯人だ」

と思い、
4つの子供部屋を見回りました。

でもみんな寝ています。

実はその人影そっくりな子がいたので
怪しいと思っていたのですが、
ぐっすり寝ています。

翌朝、
なんとなくその話をみんなにしたところ、
私が怪しいと思っていた子が、

「夕べ知らない子とグランドで遊んでいる夢を見た」

と言うのです。

詳しくその子の姿形を尋ねると、
スラスラ答えます。

低学年だから作っているとも思えません。

では、あの人影はこの子の生霊?

後日、地元の人と話している時にそのことを話すと、
近くを流れる川は護岸工事する前は急流で、
よく子供が落ちて死んだそうです。

「その誰かが、出てきて遊んだんじゃねえかな?」

そう、地元の年寄りはこともなげに言いました。

その何でも無さが、よけい怖かったです。